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金環日食!

でしたね!
縡月さんはもう楽しみで楽しみで夜も眠れず、朝5時に行動開始して9時までたっぷり楽しんだ後、家に帰ってばたんきゅうするというなんとも子どもっぽい事をやってのけましたよ!
遠足前の子どもも吃驚ですね!←
ちなみに僕が見ていた所では金環日食事体は見られたのは一瞬でした。
雲ちょっと邪魔だどk(ぁ
でもその後の部分食はとても綺麗に見られました。皆そこまで見れば良いのに。
で、苦心の末に一枚だけ上手くいったのがこちらの写真。
金環日食!_f0233223_17331317.jpg

日食グラス越しという良い子には勧められない方法だったので、光の量の少ない時に撮りました。
ぶれちゃったのが残念……。

しかーし、そこで縡月さんのテンションが終わる事はなかった!
色々妄想が膨らみすぎたので一本書いてみました。が、3時間ぐらいのクオリティなのでブログ限定公開。
と思ったけどなろうにも投稿しちゃったよ! つ あの時、その手を握れたら
お読みいただける方は以下よりどうぞ。配役を考えながら読んでみてくださいね!

でにゃでにゃ。



あの時、あの手を取れたなら

 ある晴れた日の朝、涼やかな風で私は目を覚ました。カーテンを開け、外の空気を取り入れる。爽やかな陽気に包まれて、私の心も明るくなる。時計を見ると、なんと普段より一時間も早かった。普段なら、目覚ましの音でも起きないぐらい、ぐっすり寝入ってしまうのに。これは何かあるのかもしれない。折角早起きしたのだからと、身支度を整えて私は外に散歩に行く事にした。
 どこまでも澄み渡る青い空。木々の隙間からこぼれる日の光。今の時期は新緑も鮮やかだ。この時間はまだ人も少なく、吹き抜ける風も清々しい。
――嗚呼、今日も、世界は美しい。
 そんな景色を見ていると、ふとあの人の事を思い出した。忘れもしない。何よりも大切で、誰よりも大好きだった、あの人の事を。

 もし私が、差し出されかけたあの手を、強引にでも握る事が出来たなら。そうしたら今、私はこんな歪んだ顔でこの空を見てはいないだろう。世界はこんなに、潤みを持って、憂いては見えないだろう。
 
 あの時、あの手を取れていたのなら。私は、変わる事が出来たのかもしれないのに。



 あれは私が幼い頃。あの人はいつの間にか、私のそばにいた。あの人はいつも笑っていて、そして誰よりも輝いていた。あの人のそばには、同じように自ら輝いている素敵な方々が取り巻きを作っていて、その一団は憧れの的。そして彼はそんな中でも人気があって、誰からも愛されていた。
 だから最初は恐れ多くて、近付く事さえ出来なかった。ましてや話しかけるなんてもってのほか。私のような何の取り柄の無い田舎娘はいつも、遠くから見ているだけだった。
 それが、いつの日の事だっただろう。いつの間にか、気が付いたら、私はあの人のそばにいた。あの人は誰にでも優しくて、こんな私にも優しくて、そして何より、温かかった。そのほんわかとしたやわらかい温かさが、大好きで。いつしかあの人のそばにいる時が、かけがえのない時間になっていた。
 あの人のそばにいると、なんだか私まで輝けるような気がして。もし、あの人の隣にいる事が出来たなら、私はもっと自分に自信を持てたかもしれない。ずっと誰かの影に隠れているような、そんな臆病者から、変われたのかもしれないのに。

 それでも、そんな淡い夢が叶う事は無かった。
 ……私はただ、あの人のそばにいたかっただけなのに。

 いつからかどうしてかは分からないが、いつの間にか私とあの人の事が両親に知られていた。いや、正確には姉さんに、か。私には年の離れた姉がいて、彼女は私よりもずっと前から、あの人の事を知っていたのだった。知っていて、彼女もまたずっと、あの人の事を想っていた。何を隠そう。姉さんはあの一団の一員だったのだ。
 だからだろう。私が急に横から入り込んできて、そのままあの人を盗ってしまうと、姉さんはそう思ってしまったのだった。……そんな事、あるはずがなかったのに。
姉さんは小柄ではあったが、とても美しい人だった。地味な私とは違い、豪奢なドレスの似合う、身につける光り輝く宝石に負けない、そんな女性なのである。それに引き換え私は、誰かにくっついているだけの、日蔭者。到底、敵う訳が無いのだ。
 しかし姉さんはそう思い込んで、誤解したままに、私と彼を引き裂いた。様々な方向から、じわりじわりと、私達を追い詰めていった。それは真綿で首を絞めるような、陰湿なやり方で、それ故に幼い私は気付かず、しばらく経ってから周りに教えられたのである。
 だからあれは、私では無く、あの人を陥れる為の謀略。差し詰め、女郎蜘蛛の巣に、彼は捕らわれてしまったのだ。

 でも、それでも彼は、私と一緒にいてくれようとした。幼い私を連れて、どこか遠くへ行こうと、誰もいない所で二人共に生きようと、奔走してくれたのに。
 そこは、姉さんの方が一枚上手だった。
 なんと姉さんは、両親を上手く誘導して、私を政略結婚の道具にしたのだ。私は、名前も知らない二流貴族の息子と結婚させられる事になり、それまでの間、花嫁修業の為にと遠い親戚に預けられる事となった。それはひどく突然で、あまりの出来事に目の前が真っ暗になり、聞いた途端に倒れて寝込んだ事を覚えている。
 目を覚ました私は、両親が止めるのも聞かずに、あの人に会いに行った。急な訪問にもかかわらず笑顔で迎え入れてくれたので、今から考えればきっと、もうある程度の話は伝わっていたのだと思う。けれども、私が泣きながら話を告げると、彼はひどく悲しそうな顔をした。でも、幼い私にはどうする事も出来なくて。ただ、父さんや母さんが決めた道を進むしか、手立てが無くて。
 彼は私を落ち着かせてから、色々な提案をしてくれた。それが実現不可能である事は、当時の私でも理解出来たが、そんな方法にもすがりたかったのは、お互い同じだったのだと思う。私は彼から離れまいと、彼は私を離すまいとしてくれたが、最終的には、あの人の方が大人だった。納得してくれた訳では、勿論ないだろう。しかし、笑顔で私を見送ってくれた。
「行っておいで。僕はどこからでも、君の事を見守っているから」
 もしかしたら、私の未来を祈っての事だったのかもしれない。年の離れた自分と居るよりも、両親にも祝福される道を選ぶ事が、私の為であると。……そんな事、あるはずがなかったのに。
 悲しそうに、寂しそうに。でも彼は、最後にそう囁いて私の手を離した。

「またいつか、どこかで」

 その約束は二十年経った今でもまだ、果たされてはいない。



 恥ずかしながら、あれが私の初恋という奴だったのだろう。もっとも、幼い頃の思い出と懐かしんで語るには、いかんせんまだ想いが冷めきれてはいないけれど。
 あの後、風の噂で姉さんがあの人と恋仲になったと聞いた。その時にはもう私は抜け殻になっていて、親に決められた人と結婚した。当時の私には、あの人の優しさが分からなかった。だから手を離された時、それがイコールで突き放されたと、そう思い込んでしまったのである。
 今になって思えばそんな事は無かった。あんなに、私を想ってくれる人はいなかったのに。
 勿論、今の生活に嫌気が差したという訳ではない。夫となった人は最初の印象よりも優しく、広い心で私を包み込んでくれるような人だ。私は彼に付き従い、良い妻である事を心掛けている。それに不満は無い。無いのだが……。

 それでも。一度だけで良い。一目、あの人に会いたかった。

 その時、突然風が強くなって、辺りが急に暗くなった。風にさらわれた帽子を追い掛けながらふと、あの人ならこんな時、どうするのかなとそんな事を考えた。きっと、すっと帽子を取って、私にすぽんとかぶせてくれるのだろう。そして、目深にかぶせられた帽子で視界が隠れている間に、お嬢さんの太陽はここですよ、なんて言って、花でも差し出すのだろう。おどけたような顔で子どもっぽい事をしてくるのが、彼の可愛い所だった。
 まぁ昔の事であるし、私も子どもだったので素直に喜んだが。普通の人では照れてしまって出来ないような気障な事を、あの人は平気でやってのけた。そんな行動が、いちいちとてもはまって、似合ってしまうのである。
 そうこうしている間に、帽子は誰かの足元まで行きついてしまった。良い年をして恥ずかしいなと、赤く染まった頬を隠す様にうつむいて、そこまで駆け寄る。
「す、すみません。その帽子」
「貴女のでしたが。はい、どうぞ」
「ありがとうございま……え?」
 その男性は私の帽子を、ひょいと頭に乗せてくれた。それも、目深に。
「貴女に、涙は似合いませんよ」
 そう言って彼は、まるで手品師のような鮮やかな手つきで、金色に輝く指輪を取り出し、すっと私の手にはめた。
「あの時渡せなかった物が、やっと、持ち主の手に戻りました」
 目線を上げると、そこにあったのは、輝くような、まぶしい笑顔。ずっと恋焦がれていた、優しい温かさ。

「また、会えましたね」

 嗚呼、私はこの喜びを、どうやってあなたに伝えようか。

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補足!
・主人公の私=月、あの人=太陽、姉さん=金星、今の夫=地球、なイメージです。あえて抽象的にしてみましたので、配役がこうだと分かってから読むとまた違った趣になるかもしれない。
・よく考えるとものすごく修羅場ってるし、これからもきっと修羅場る。
・でもどうしても引きはがされていく二人にしか見えなかった。
・そしてあの雲たちは野次馬。だから盛り上がる時に群がる。くそう邪魔だどk(ぁ
・月は大人しめな眼鏡幼女だと僕がとても萌えr(強制終了
・妄 想 乙 !orz
by hayabusa-l19-96 | 2012-05-21 17:39 | 落書き